オーディオレベルメーター...page.1/7
はじめに
オーディオレベルメーターはテープレコーダーやDATなど録音レベルを確認するときに多く使われます。
録音機器では最適なオーディオレベルにしないと、S/N比や歪みが悪化するためです。
しかし、音楽信号に合わせて棒状の光が点滅する様子(指針が動く様子)は見ていても楽しいものです。
ここでは発光ダイオードを使って、楽しく綺麗なオーディオレベルメーターを作りませんか?
概要
棒状に並べた10個の発光ダイオード(LED)が音楽信号レベルに合わせて点滅します。
ナショナルセミコンダクター社のドット/バー表示ドライバー:LM3915を使用しました。
LEDには高輝度で高拡散のFluxLEDを用いてみました。
4つの発光色を使って、美しいオーディオレベルメーターに仕上げます。
フルスケール時の入力電圧を低くしてボリュームにより様々な音楽ソースで使えるようにしました。
(ヘッドホン出力、ライン出力)
LM3915は10個のLEDを3dBステップで点灯させるようになっています。
よって表示できるダイナミックレンジは30dBとなります。
ダイナミックレンジが狭いようですが、不満は感じられません。
出来上がりはレベルメータ本来も可能ですが、オーディオアクセサリーとして仕上げることとします。
作りごたえがあって完成後も気に入ることだと思いますです。
回路図
回路図は片チャネルだけ示していますが、ステレオで製作します。
回路はナショナルセミコンダクター社のLM3915N:データシート:アプリケーションの回路定数を変更した程度です。
VR | 10KΩ(A) | C1,C3 | 0.1uF(50V積層セラミック) | 青色LED | FluxLED(参考:OSUB7161D) | ||
R1,R7 | 1KΩ(1/8W) | C2 | 1uF(50Vケミカルその他) | 緑色LED | FluxLED(参考:OSPG7161D) | ||
R2,R4 | 100KΩ(1/8W) | C4,C5 | 10uF(50Vケミカル) | 黄色LED | FluxLED(参考:OSYL7161D-ES) | ||
R3,R6 | 10KΩ(1/8W) | D1,D2 | 1N4148 | 赤色LED | FluxLED(参考:OSHR7161D-ES) | ||
R5 | 100Ω(1/8W) |
回路の説明
LM3915Nの入力端子は内部で各コンパレーターに直接接続されており、オーディオ信号を直接入力するとレベル表示はするものの激しい点滅状態になってしまいます。
これはオーディオ信号は交流波形であり、負レベルのときは全消灯となるためです。
このままでは、ドット表示モードにしても正常な表示になりません。
このため、オーディオ信号を整流し、直流に変換してLM3915Nに入力します。
オーディオ信号の整流はオペアンプ:LM358Nで構成する半波整流回路で行なわせます。
回路図のダイオード:D1、D2は小信号ダイオードであれば何でも構いません。
ここでショットキーバリアーダイオードなどで単にオーディオ信号を整流してLM3915Nに入力しても構わないのでは?と思われますが実験してみると、細かな調整ができなくて付加回路が必要となり、結果的にオペアンプによる整流回路とした方が簡単に済みます。
LM3915Nのフルスケール時の入力電圧は最低の1.2Vとなりますが、これではライン入力に接続しても満足できる表示となりません。
そこでオペアンプ整流回路に11倍のゲインを持たせています。
これにより、レベルの低いヘッドホン機器に接続しても楽しめるようになります。
また、LM358の許容入力電圧範囲(-0.3V〜Vcc)でフルスケール表示させることができます。
ゲインは、(R3+R4)/R3 で算出されます。
抵抗:R1:1KΩはボリュームを絞ったときの異常発振防止のために挿入しました。
入力に10KΩのボリュームを設けて様々な音楽ソースに接続できるようにします。
ここに50KΩや100KΩなど高い抵抗値のボリュームの使用は避けて下さい。
抵抗値の高いボリュームではノイズの影響を受けやすく、ボリュームの位置によっては無信号でもLEDがチロチロと点滅することがあります。
ディケイ時間(表示が全消灯するまでの時間)はLM3915Nの入力に接続されるコンデンサ:C2:1μFと、整流回路の抵抗:R4:100KΩでほぼ決定されます。
抵抗:R4はゲインも兼ねるので変更する場合はコンデンサ:C2で行なうようにして下さい。
0.47μF〜4.7μFで選択するといいでしょう。
今回はテンポの早い音楽に追従するようにコンデンサ:C2を1μFとして、素早く動くようにしました。
ドット表示モードでは常に2〜4個のLEDが左右(又は上下)にキラキラ動いて見えます。
LM3915Nは定電流出力で、LEDをブリーダ抵抗なしで直接接続できます。
LEDに流れる電流は抵抗:R7により決定され、(12.5/R7)+0.58 〔mA〕で算出されます。
今回の回路定数では約14mAとなり、発光色を問わず満足できる輝度になりましょう。
電源電圧は青色LEDのVfを考慮して最低5Vあれば稼動し、電源電圧の上限はLM3915N:データシートの注意書により7Vとなります。
電源は作り易さからACアダプターを使うことにします。
LEDは4色を使い分けました。
全て同一色のLEDにすると落ち着いた感じになりますが、ドット表示モードでは同じ色の光の点滅が左右(又は上下)に動くだけで、暗い場所ではレベルの高低が判断できないことを想像してみて下さい。
ここでは、青青緑緑黄黄赤赤赤赤と決定しました。
いろいろな色のLEDを組み合わせて、多くの音楽を聴きながら決めました。綺麗できっと感動すると思いますです。