デジタルアラームクロック...page.1/10
はじめに...
電子工作をされて永く残る工作物は何と言ってもデジタルクロックだと思います。
時計は生活上、必要なもので一度通電して使い慣れると撤去しにくいからです。
ここでは多くの方が扱っていると思われるPICコントローラーを使ってアラーム機能を搭載した、誰でも使い易いデジタルクロックを製作・紹介したいと思います。
市販には無い特徴あるものに仕上げてみて下さい。
概要
暗い場所でも充分実用となる発光ダイオードで表示させます。表示部にはブルー7セグメントLEDを用いてみました。
時計のコントロールはPICマイコンのPIC16F873Aを用います。
PIC16F873Aはメモリが充分あり、多機能な時計も考えられますが使い易さを重視したものにしました。
機能としては「アラーム機能」をメインとして、経過時間を計る「加算タイマー機能」、アマチュア無線で便利な「24時間表示機能」を付加しました。
これらはフロントパネルに配置する3つのプッシュスイッチで操作します。
アラーム出力は松下電工のホロホロブザーを鳴動させることとします。
プログラム
プログラムにはMPLABを用いましたので、使いこなしている方はいろいろと改変して楽しんで下さい。
短時間で作成したので記述が長くなりましたが、PIC16F873はメモリが多いのでまとめていません。
割り込みで多くの処理をさせていますが時間の間隔は余裕あります。
clock.asm
clock.hex
コンフィグビットは3F72になります。
回路図
回路の説明
動作は全てPIC16F873Aに書き込んだプログラム通りに動作しますが、回路の主な部分について説明致します。
表示部は1桁づつ高速表示させて残像効果により連続点灯しているように見せる「ダイナミック点灯方式」としました。
ダイナミック点灯方式ではA〜Gの各セグメントを共通に接続できるので配線が少なく済みます。
プログラムでは1桁の表示させる時間は5ミリ秒としました。即ち4桁全てを表示させる時間は約20ミリ秒です。
尚、1セグメントづつ丁寧に点灯させる方式を「スタティック点灯方式」といい、目には優しいのですが配線が多くなるのが欠点です。
ところで「ダイナミック点灯方式」は素早く順次点滅させて、残像効果により連続点灯しているように見せるのですが、連続点灯で使う時と同じ電流でダイナミック点灯を行なうと暗く見えてしまうので、通常より多くの電流を流す必要があります。
しかし、回路では各セグメントのブリーダ抵抗を330Ωとして連続点灯時の電流よりも低く抑えています。これは今回用いたブルー7セグメントLEDのPARALIGHT:C-551UBがとても高輝度なためです。
330Ωでも充分高輝度と言えます。
A〜Gの各セグメントの電流は数mAと低い電流ですが、例えば「8」では全てのセグメントが点灯となり、COM端子(共通端子)では約50mAの電流が流れることとなります。
この50mAの電流はPICでは定格オーバーで制御できません。
このため各桁のCOM端子はトランジスタアレイ:TD62003APを介しています。TD62003AP内部は電流増幅度が高いダーリントン接続されたトランジスタで構成されていますからPICの負担は軽くなります。更に入力には抵抗が内蔵されておりロジックレベルを直接接続できるので回路を簡単に済ますことができます。
TD62003APはダーリントン構成のトランジスタが7回路内蔵されたものですが3回路分は未使用となります。
アラーム出力には松下電工のホロホロブザー:EB2136を用いました。6V用のものを使いますが5Vでも充分鳴ります。
尚、現物には20mAと記載されていますが瞬時値の電流が高いためトランジスタでコントロールする場合は1A以上のものを使うことと松下電工のカタログに記述されていましたのでMOS-FET:2SK2231で駆動しました。
2SK2231はオン抵抗が低く(0.12Ω)、電流も5A程度まで扱えますからブザー以外にリレー等も駆動できます。
2SK2231のゲートには10KΩの抵抗がGNDに接続されていますが、これはPICのI/Oの初期値が入力となっており、プログラム開始でI/O設定が済むまでの一瞬の間でゲートがフロート状態にならないようにするためです。
MOS-FETのゲートがフロート状態になっているとONかOFFか不安定な動作をしてしまいます。
この抵抗は10KΩ〜470KΩの範囲で選んで下さい。
回路は5Vで動作させますが、6V〜9V程度のACアダプターを用いることを想定して5Vのレギュレーターを追加しています。
3端子レギュレータIC:TA4805はロードロップアウト型のレギュレータICで、5Vを安定して得るには5.5Vからの入力電圧から使えます。
尚、5VのACアダプターを使う場合はレギュレーター回路は必要ありません。
表示部にはブルー7セグメントLEDを使いましたが他のコロンやPMランプ、アラームランプにはブルー以外の色を使い分けました。
これは作る貴方のセンスで決定して下さい。
尚、製作を容易にするためにAMランプを省いてあります。AMランプを設ける場合はpage.10/10を参照して下さい。
高輝度タイプのLEDを用いるのであれば発光色に関係なく、また、7セグメントLEDについても他の発光色のものを用いる場合でもブリーダ抵抗値を変更する必要はないでしょう。