家の中でカーステレオを使う...page.2/2
私が製作した様子を掲げます
以降は私が実際に作った紹介ですが、その時に注意したいことを掲げますね。
ケースの穴開け加工
頑丈に仕上げるのがコツです。
ケースの選定と内部レイアウトの熟考と穴開けに時間を掛けて失敗しないようにして下さい。
メインユニットは定位置より大きく出っ張るのでケースはパネルが奥まってヒサシがあるタイプがお奨めです。
今回、私が選んだアルミケースはタカチ:UC22-12-26です。
使用した主な工具は、電動ドリル、オートポンチ、ヤスリ、金ノコ、ハンドニブラです。
私からアドバイスするのは下表になります。
- アルミケースは1.5mm厚以上の丈夫なものを使う。
- 肉薄のケースは、カーソケットにカープラグを抜き差しする時や、ACインレットにプラグを差し込む際にケースが歪んでしまいます。
- メインユニットはスイッチ類の操作によって揺れることなくガッチリ固定させる。
- クルマで使う機器は誤操作を避けるためスイッチ類の多くはクリックトルクが大きくなっています(強めに押し込まないとONにならない)。
- 圧着端子やファストン端子が無理なく接続できるようパーツのクリアランスを広くとる。
- ファストン端子やギボシ端子を差したサイズでパーツをレイアウトすること。
- スイッチング電源をケースに固定したままでネジ端子にアクセスできるようにする。
- メンテナンス性の向上。
私はL型補助金具を使ってケース底からメインユニットを浮かして固定し、その下にスイッチング電源を配置してみました。
L型補助金具はBS-507という型番で、写真のように長穴になっているので取り付け位置は自由です。
BS-507はカチオン電着塗装(黒色)をしています。同じ寸法でクロームメッキのBS-607があります。
僕と同じ作り方を検討していればBS-607は避けたほうがいいです。つるつる滑って位置決めしにくいです。
完成後に何らかの衝撃でズレ落ちることがないように小さなL型補助金具でメインユニットの底を支えるようにしました。
早めにゴム足を取り付けて机上をキズ付けないように。
L型補助金具は位置を決めて渾身の力で締め付けたので二度と外したくないです(^^;
私が使用したタカチのUCシリーズのアルミケースは前後のパネルが分離できるのでメンテナンス性がいいです。
フロントパネルに配置するのは電源スイッチとカーソケット、およびメインユニットになります。
リアパネルはACインレット、主電源スイッチ、スピーカーターミナル、カーアンテナ延長コードを通す穴を配置します。
ACインレットにACプラグを差し込む際はチカラが入ります。この時、リアパネルが大きく歪まないようにACインレットはパネルの角に近い位置にレイアウトすると歪みが少なく済みます。
メインユニットの穴は1DINサイズ(50mm×180mm)より8mmほど大きな穴を開けました。隙間は大きいですがメインユニット自体が暗い色なので隙間はほとんど気になりません。
この程度の隙間がないとメインユニットの取り付けはシビアになってしまいます。
パネルに大きな穴を開けてしまったので一片が10mmのアルミLアングルで補強しました。
1.5mm厚のパネルでも補強しないとカーソケットにカープラグを抜き差しした際に歪んでしまうためです。
カーアンテナ延長コードを通す穴の部分はコードを傷付けないように20mmのグロメットを取り付けます。
各パーツのクリアランスを大きくとって配線しやすくします。
フロントの電源スイッチとカーソケットは内部の金具やネジに当たらないように穴開け加工前に充分に確認しておきます。
メインユニットをポンッと置いてみました。
上カバーをしてみました。
メインユニットとフロントパネルの隙間は大きくてもケースの天板を取り付けると暗くて目立たないので気にしない。
それよりも、メインユニットとケースは平行(水平に取付る)になるよう気を使って下さい。
完成したセットは正面から見ると横長なのでメインユニットは少しの傾きでも目立ちます。斜めになると恥ずかしいよ!
なのでフロントパネルの穴も直角や平行に気を配って加工しましょう。
ようやく電気配線です。
電気配線
配線は前頁のPDFの配線図の通りです。
簡単なので1日もあれば完成しますよ。
商用電源(交流100ボルト)の配線をする箇所もあるので配線ミスは許されません!
配線ミスをしないこと、確実な圧着作業を行なうこと。
僕は全て圧着端子で接続し、はんだコテは一切使いませんでした。
配線にはAWG20を使いましたが端子によって芯線が細いので、この場合は芯線を折り返して圧着します。
圧着接続はハンダ接続より信頼が高いとされていますが正しい方法で圧着をしないとダメです。
私が使った圧着電工ペンチです。エーモン:電工ペンチ1452と、フジ矢:万能電工ペンチFA104です。安価ですが使いです(慣れたから)。
圧着端子(ファストン端子、ギボシ端子、R型端子)を初めて使う方は何度も訓練して下さい。
以下は私が使った圧着端子の集合写真です。
①丸型裸端子:R1.25-3.5 ②丸型端子:エーモンNo.1141 ③ギボシ端子:メス ④ギボシ端子:オス
⑤ファストン端子#250メス ⑥ファストン端子#187メス ⑦ファストン端子#110メス
⑧絶縁被覆付閉端接続子:CE2 ⑨絶縁被覆付閉端接続子:CE5
私は閉端接続子とヒューズホルダー以外は殆ど芯線を折り返して圧着しました。
圧着端子を接続する前に絶縁カバーを通しておくことを忘れないように!
以下は私なりのやり方を写真で示したものです。
【ギボシ端子、ファストン端子、丸型端子など】
絶縁カバーを通しておく。
被覆を剥く。圧着端子によって剥く長さを調整する。
使用したAWG20の芯線は圧着端子に対して少し細いので折って太く見せかけ、確実に圧着して抜けないようにしました。
ヒューズホルダー(エーモンNo.B138)は芯線が太いので折らないで圧着端子にセットします。
圧着端子にセット。剥いた全ての芯線が圧着端子のミゾに入っているか確認。
まずは芯線部を力強く圧着。圧着は1回きりが基本ですが、上手くいかない場合はワンランク上の部分で仮圧着後に本圧着する。
この段階で電線を「くいっくいっ」と引っ張って抜けてしまう様子がないか確認する。少しでも動くようなら不合格です。
被覆部を圧着する。
あらかじめ通しておいた絶縁カバーを被せる。
【丸型裸端子】
絶縁キャップを通しておく。
被覆を剥く。圧着端子によって剥く長さを調整する。
使用したAWG20の芯線は圧着端子に対して少し細いので折って太く見せかけ、確実に圧着して抜けないようにしました。
カーブをきつく芯線を折り曲げないと端子に入らないかも知れません。
丸型裸端子をセットします。全ての芯線が穴に入っているか確認する。
スリーブ部分を力強く圧着する。圧着は1回限り。
圧着後、電線を「くいっくいっ」と引っ張って抜けてしまう様子がないか確認する。少しでも動くようなら不合格です。
あらかじめ通しておいた絶縁キャップを被せる。
訓練としてギボシ端子のオスとメスを圧着したら双方を接続してみましょう。
ギボシ端子の扱いが初めての方は「マジか?」と思うほど固いかも知れません。「カチッ」とか「カクッ」とか感触があるまでハメます。ハメるときは固いので怪我をしないように!
そうしたら両端のリード線を引っ張って圧着した部分が抜けたり切れたりせず、ギボシ端子のオスとメスが正常に外れるか確認してみましょう。
この訓練で自信を付けてください。
電線同士を接続する箇所は絶縁被覆付閉端接続子を使います。
絶縁被覆付閉端接続子はCE2とCE5の2種類があると便利です。
扱いは簡単で、配線の被覆を剥いて芯線を出したら、絶縁被覆付閉端接続子の内部のスリーブに通し、スリーブ部分付近を絶縁物ごと圧着するだけです。
ただし、圧着後に電線を引っ張って抜けてしまう様子がないか確認し、少しでも動くようなら不合格です。
クルマの中でカーステレオを取り付けている気分になります。
配線は長くて乱雑になっても大丈夫です。気にせず配線していきましょう!
配線コードの色がPDFの絵解き図と異なりますが、PDFの配線図に間違いは無いよ。
ヒューズホルダーにヒューズをセットし、メインユニットを取り付けます。私はヒューズは3アンペアでは物足らないので5アンペアを入れました。
取付けビスはメインユニットに付属されているビスを使います。
配線の這いまわしは乱雑で構いませんが、ヘッドユニット後部のアルミ放熱器には触れないようにしたほうがいいです。
ヘッドユニットによって無音状態でも熱くなることがあります。
完成してみて
2スピーカーで楽しむ場合はリアまたはフロントどちらかのスピーカーターミナルに接続します。
ワンタッチターミナルはコードの取り付けと取り外しがラクです!
リアの主電源→フロントの電源スイッチの順にONします。
リアの主電源は常時ONの状態で使い続けます(スイッチング電源は常時通電状態)。
長期不在の時はOFFして構いません。ただし、設定した内容は全て初期化され出荷状態になります。
配線図から判るようにカーソケットはフロントの電源スイッチと連動しています。
カーソケットのみ使用する場合はメインユニット本体の電源をボタン操作等でOFFします。
電源スイッチを入れるだけで直ぐに音楽やラジオが楽しめて便利です。
メインユニットの使い方はマニュアルで確認して下さい。
満足感が得られる工作で、音楽を聴く道具の主役にもなれる製作物です。
補足事項
ラジオを聴くときはカーステレオ用のアンテナを用意しなくても大丈夫です。
アンテナのジャックの奥の中央に被覆を剥いた1~2m程度のコードを軽く差し込むだけでAM放送もFM放送も聞こえるようになります。
カーアンテナのプラグ先端と、ヘッドホンなどの3.5mmプラグと同じ太さなので、ヘッドホン又はオーディオケーブルの3.5mmプラグを差し込んでおくだけでもアンテナ代わりになります。
この場合、3.5mmプラグは先っちょだけ挿入する程度にします! 奥まで深く挿入すると抜くことが困難になっちゃうよ!!!!!
カーステレオのラジオ回路は高度な回路技術とデジタル処理でパルス性ノイズやマルチパス歪みは除去してくれるので聴きやすいです。
スイッチング電源を使った本体ですがノイズは気にならないと思います(メインユニットの性能による)。
3.5mmプラグは先っちょが「嵌ったな」までにする。先っちょだけでも自然に抜けることはないでしょう。プラグが抜けにくくなるから奥まで入れちゃだめ♥
アンテナは床を這わすだけでも放送が受かりますが、いろいろ工夫して最良な位置を探してみましょう。
カーソケットに何を差して利用するか貴方の自由です。
カープラグを使った製品はカーショップに行けばいろいろありますが、ヒューズの定格電流内で使いましょう。
無線機を接続する場合はセットしたヒューズの定格電流以下になるよう出力をセーブしなければいけません。
尚、ヒューズが切れる前にスイッチング電源の保護回路が動作すると思われます。
私はUSB充電ソケットを差しました。スマートフォンやアイコスを充電したいためです。
更にBluetoothレシーバーを差してメインユニットのAUX端子に接続してワイヤレスで音楽を聴けるようにしてみました。
メインユニットはBluetooth内蔵の機種もあります。
Bluetooth内蔵のメインユニットは電話機能最優先になることに注意して下さい。
スマートフォンと一度でもペアリングすると常時ペアリングになり、Bluetoothによる音楽再生だけでなく、どんな状態でも電話着信があると着信音がスピーカーから鳴り響きます。
電話の発着信でもフリーハンズ通話が優先されます。
本来のクルマの中で使うには便利ですが、屋内でこのような動作をされると不便でしょう。基本的に機能をカットすることはできません。
よって、今回の工作でBluetooth内蔵のメインユニットを用意された場合はスマートフォンとペアリングしないほうがいいです。
スマートフォンの音楽をBluetoothで楽しみたい場合は、私と同じように小型のBluetoothレシーバーを使う方法を奨めます。
スイッチング電源について
過電流保護が作動した場合は、過電流の原因を取り除けば大抵は復帰します。
また異常発熱の場合は過熱保護回路が動作し、休ませて冷えてくれば大抵は復帰します。
しかし、原因不明でスイッチング電源単体で出力が出ていなかったり、内部ヒューズが溶断した場合は、分解修理しないでスイッチング電源ごと交換しましょう。
スイッチング電源にはどのような故障モードがあるのかWEBで調べてみて下さい。僕は白煙異臭を経験しましたが焦らずにスイッチング電源を交換です。
スイッチング電源は寿命があるので、使用したスイッチング電源のカタログで確認してみて下さい。
繰り返しになりますが、万が一、スイッチング電源が故障した場合は自分で直そうとしないで、一つの部品と考え、スイッチング電源ごと交換だよ。きっと約束ね!
ここまで書くとちょっと焦りますよね。
今回製作した工作物でも主電源を入れっぱなしで大丈夫か心配になるでしょう。
テレビやエアコンもスイッチング電源で常時通電状態にして、リモコンの受信や小さなスイッチの入力を待機しています。
ルーターやパソコン、周辺機器のACアダプターもスイッチング電源で常時通電状態になっています。
スイッチング電源は滅多に故障しません。但し、スイッチング電源には寿命があることを知っておきましょう。
私が使ったパーツリスト
細かなものまで掲げておきます。
品名 メーカー 品番 規格 数量 備考 メインユニット ケンウッド U320W 1DINメインユニット 1 スイッチング電源 TDKラムダ RWS100B-12 直流12V 8.5A 1 アルミケース タカチ UC22-12-26 幅22cm高さ12cm奥行26cm 1 ゴム足 高さ10mm 4 L型補助金具 和気産業 BS-507 4 ステンレス金折甲板 縦穴 05-001 4 アルミアングル 1.2mm×10mm×10mm パネルの補強に使用 トグルスイッチ エーモン No.3205 1 ファストン#250で接続する ニッサン車用ドレンパッキン 外径20mm内径12mm厚み1mm 1 トグルスイッチの飾りワッシャに使用しました カーアンテナ延長コード 錦織 NPC-135 50cm 1 カーソケット 秋月電子で購入 補修ユニオンパッキン SANEI PP40-30×22 外径30mm内径22mm厚み2mm 1 カーソケットの飾りワッシャに使用しました
パネルの傷付き防止が目的ですヒューズホルダー エーモン No.B138 1 ヒューズ 3~5アンペア 1 プッシュスピーカーターミナル エコー電子 PT-S04F11 2 端子幅が2.8mmなのでファストン#110で接続可能 ACインレット エコー電子 AC-P01CF01 1 ファストン#187で接続可能 ロッカスイッチ 125V15A以上 1 ファストン#250で接続可能か確認すること 膜付グロメット 取付穴径20mm 1 配線材料 協和ハーモネット UL1015 AWG20 2m×7色 AWG20 ギボシ端子 オス エーモン No.3305 適量 絶縁カバー付 ギボシ端子 メス エーモン No.3305 適量 絶縁カバー付 R型圧着端子 R3.5 適量 スイッチング電源の接続に使用 6mm丸型端子 エーモン No.1141 適量 アース端子に使用 ファストン端子#250 メス 適量 絶縁カバーも用意する ファストン端子#187 メス 適量 絶縁カバーも用意する ファストン端子#110 メス 適量 絶縁カバーも用意する 絶縁被覆付閉端接続子 ニチフ CE2、CE5 適量 ネジ類 適量