G3ファクスを簡易スキャナーとして使用するアダプタ...page.1/4
はじめに...
アナログ公衆網に接続するパソコンモデム(PCファクスソフトを含む)と一般のファクス(G3FAX)を接続して、FAXをスキャナー代わりとして使用する為のアダプターです。
はじめから専用のスキャナーをお持ちの方には全く必要のないものですが...
尚、デジタル公衆網(ISDN)に接続するG4FAXでは使えません。
概要
ファクス(G3FAX)はスキャナー部、プロッター部、データー圧縮伸長、モデム、NCUで構成されており、信号の流れは下図の通りです。
今回は、送信時の流れでファクスの電話回線からPCモデムに接続してファクスを簡易スキャナーとして使うためのアダプタ(給電装置)を製作します。
ファクスには、ITU-T勧告により(モデムレートと電送時間の違い)、グループ1(G1FAX),グループ2(G2FAX),グループ3(G3FAX),グループ4(G4FAX)がありますが現在のファクスの殆どはG3又はG4となっています。
G4ファクスはデジタル公衆網(ISDN)に接続する高速ファクスでビジネス向きのため、一般家庭に置いてあるファクスはG3ファクスと思われます。
G3ファクスの標準規格でモデムスピードは4800bpsになっていますが今では9600bps,14.4kbpsが当たり前のようになっています(スーパーG3の規格もあり、この場合の最高モデムレートは33.6kbps[V34モデム])。
実際に交信するモデムスピードは送受信する互いの機能と回線状況(ノイズの大小)で変化します。
また、G3ファクスの画像解像度は標準規格が200dpi*100dpi(近似値)ですがオプション規格で200dpi*200dpi(近似値),400dpi*400dpi(近似値)があります。
この画像解像度は送信側で指定します。
送信時の解像度の指定にはメーカーにより、
200dpi*100dpiを「ノーマル」又は、「ふつう字」,
200dpi*200dpiを「ファイン」又は、「小さな字」,
400dpi*400dpiを「スーパーファイン」又は、「細かな字」
といった具合に表現されていると思います。
回路図
回路の説明
ファクスとPCモデムを単純にモジュラーコードで接続しても何も動作しません。
それは給電が無いためです。
電話回線(アナログ公衆網)の2線間には、電話局から直流48ボルトが供給されているのをご存知でしょうか?
端末(電話やモデム)は、電話局から給電された48ボルトを基に流れる直流電流で動作をしています。
* 端末を使っている時に電流が流れます。
* 電話局では、この電流を検出することでユーザー側の使用状況を把握しています。また、アナログ公衆網には、この直流電流と音声信号が混じった電流(脈流)が流れています。
実際にどの程度の直流電流かは下図に示す通りです。
線路抵抗は1500Ω以下と定められており、実際は26.67mA以上となります。
今回作る回路図の流れる電流値は...
ファクスの端末抵抗値とPCモデムの内部抵抗をそれぞれ300Ω(推定値)とすると、電源が18ボルトなので、
18ボルト/(470Ω+300Ω+300Ω)=0.0168(約16.8mA)
となります。
先の実回線より10mA程少ないですが殆どの端末(ファクス)は動作します。
* アナログ公衆網については直流電流の他、選択信号(ダイヤル)、呼出し信号など入ってきますが詳しくは工事担任者資格の資料を参照願います。
当回路の使い方については最後に記述します(簡単です)。
パーツリスト
作り易さを考えて「かまぼこの板」をベースに作りましたが貴方の思う素材で作って結構です。
品名 | 型番 | 個数 | 備考 | 予算 |
モジュラーローゼット | MJ-2S | 2 | @\400 | |
1/4Wカーボン抵抗 | 470オーム | 1 | 黄,紫,茶,金 | \10 |
電池スナップ | 006P電池用 | 2 | @\50 | |
006P型 9V電池 | 2 | @\180 | ||
両面テープ | 少し | - | ||
かまぼこの板 | 1 | 好みで用意 | - | |
モジュラーコード | 6極2芯 | 数m | 既存の物で結構であり、 必ず必要とは限りません |
- |
リード線 | 少し | - |
部品の外観
モジュラーローゼット
モジュラーローゼットには、6極のモジュラープラグが入る2芯タイプで、コンデンサ無しの物を使います。
一般にはモジュラーローゼットの見える部分にMJ-2Sと表記されています。
* MJ-2SCと表記されていれば、コンデンサ有りのタイプです
* MJ-4Sと表記されていれば、4芯タイプのものです
尚、4芯のタイプ(MJ-4S)が手元にある場合は、中央の2つの端子を使って下さい。
また、コンデンサ有り(MJ-2SC)が手元にある場合は、コンデンサを切り落として使って下さい(切り落としたコンデンサは本当のコンデンサではなく、コンデンサと抵抗の混入した部品なので使い道は殆どありません)。
8極のモジュラーローゼット(MJ-8S,MJ-8SR)は、ISDN用のため使用できないので注意して下さい。
1/4Wカーボン抵抗
470オームを1本使います。
抵抗値はカラー抵抗表示してあり、黄,紫,茶,金となっています。
今回の回路では470オームに限らず、240〜680オームの範囲であれば問題ないと思われます。
電池・電池スナップ
電池はコンビニでも売られている9Vの四角い電池(006P型)を2個使います。
電池スナップは006P型9V電池に合ったものを購入します。2つ必要です。
パーツショップで「電池スナップを下さい...」と言うと上の写真(右)の事を指す筈です。
モジュラーコード
一般の電話機を接続するためのコードです。
2芯のものと4芯のものがあり、2芯のものを使いますが、4芯のものでも中央の2芯しか使わないので4芯のものでも結構です。
当然、先に紹介したモジュラーローゼット(MJ-2S)に差し込めるモジュラーコードであって、間違ってもISDN用を購入しないで下さい!
既存のPCモデムやファクス及び、電話機で使用しているモジュラーコードが使えるので必ず必要ではありません。本機を使う時だけ、取り外せばいいのです。
かまぼこの板
これまで紹介した部品を、かまぼこの板を使ってまとめてみたいと思います。
かまぼこの板は洗って良く乾燥させます。
カッコ悪いと思う方は、その他の方法でレイアウトして下さい。
尚、かまぼこの板はメーカーにより大きさが異なります。なるべく大きなかまぼこを食べるといいでしょう。
右の写真の様に「わさび漬」と合わせて食べると美味しかったです。
両面テープ
かまぼこの板にモジュラーローゼットと電池を固定するのに用います。
なるべく厚手のスポンジタイプを使うといいでしょう。
リード線
少しで結構です。
これまで紹介した必要な部品です。たったの8点です!
* かまぼこの板、両面テープは写していません。また、定規は関係ありません。