ポータブルMP3プレーヤー...page.1/8


はじめに...

既に紹介している「MP3プレーヤー」において、多くの方はヘッドホン専用としたポータブルタイプを作られている様子です。
ここでは回路の簡潔化とプリント基板により、更に高い成功率で紹介いたします。



概要

ヘッドホン専用のポータブルタイプのMP3プレーヤーです。
メディアはSDカードで、ファイルシステムFAT16で使用します。このためファイルの出し入れは通常のパソコンで扱えます。
マイクロコントローラーには電子工作で人気のあるマイクロチップテクノロジー社のPIC18F252-I/SP、MPEGデコーダーにはVLSIソリューション社のVS1011Bを用います。
PIC18F252のプログラムは既に紹介しているMP3プレーヤーと全く同一ですから、MPEGデコーダーにはVS1001Kも使えますが、VS1011Bの方が動作が安定しているようです。

電源には単四電池2本の3Vで稼動させます。
MP3回路自体は3.3Vで稼動させるので、マイクロチップテクノロジー社のチャージポンプIC:MCP1252-33X50I/MSにより3.3Vに昇圧させます。

MCP1252-33X50I/MSが安定して3.3Vを出力できる入力電圧は標準2.1Vなので、電池電圧が2.1Vを検知すると強制的にシャットダウンするようにしました。
電源に電池を用いたセットでは電圧低下によるプログラム誤動作を防ぐため電源電圧の監視は必須といえます。



回路図




U1 MCP1252-33X50I/MS R1 4.7KΩ R11 15Ω C9 0.1μF
U2 PIC18F252-I/SP R2 470Ω R12 15Ω C10 0.1μF
U3 VS1011B R3 470Ω C1 10μF C11 10μF
Q1 2SA1382 R4 10KΩ C2 1μFセラミック C12 100μF
Q2 2SC1815(Y) R5 2.2KΩ C3 10μF C13 100μF
D1 1SS108 R6 1KΩ C4 0.1μF RA1 10KΩ6素子7ピン
D2 1SS108 R7 1.5KΩ C5 0.1μF RA2 100KΩ4素子5ピン
X1 セラロック10MHz R8 10KΩ C6 10μF
X2 X-tal:12.288MHz R9 1MΩ C7 22pF
LED Φ3mm高輝度 R10 10KΩ C8 22pF

回路の説明

既に紹介している「MP3プレーヤー」との相違点を記述します。

電源のON/OFFをコントロールする素子はMOS-FET:2SJ377から、バイポーラトランジスタ:2SA1382に変更しています。
これはスピーカーアンプ回路がなくなり、大きな電流を扱わないためです。
尚、ここでは電源利用率を上げるため、コレクタ-エミッタ間飽和電圧が小さなトランジスタを選択したいところです。
2SA1382はコレクタ-エミッタ間飽和電圧が標準0.2Vと小さなトランジスタです。

電源スイッチ(ポーズ)の役割があるスイッチ:SW1の監視は、既に紹介しているMP3プレーヤーではフォトトランジスタを介してマイクロコントローラーへ伝えていましたが、ここではショットキーバリアダイオード:D1,D2で済ませ簡潔化を図りました。
ここには一般の小信号ダイオードではなく、必ず小信号のショットキーバリアダイオードを用いて下さい。

電源電圧の監視は当然ながら、チャージポンプIC:MCP1252-33X50I/MSの入力電圧から検出します。
ここでは回路の簡潔化のため降圧せずに抵抗:R6:1KΩを介して直接PIC18F252のADC設定した端子へ接続しました。
このため電源は3.3Vを超えないようにしなければなりません。
但し、2SA1382のコレクタ-エミッタ間飽和電圧もあるためか、初期電圧1.7V(2本で3.4V)のオキシライド乾電池では問題なく動作したことを報告しておきます。

ノイズ防止のために、既に紹介しているMP3プレーヤーでは、デジタル部とアナログ部の電源回路にコイルを挿入していましたが省きました。
このノイズは配線により大きく変動し、ここではプリント基板のパターンに注意して、コイルが無くてもノイズは皆無となっています。
パターンの変更などを繰り返して3台試作したよ。


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