簡単自作スピーカー...page.1/1


はじめに...

完成されたエンクロージャー(スピーカーボックス)を使った、簡単自作のスピーカーシステムです。
これは私が欲しかったスピーカーであり、報告みたいなページです。
数ある小さな8センチフルレンジでも試してみようか?そんな気分で作ったものです。

電子工作で小出力のアンプを作ってみたけど、スピーカーシステムも自作にして、オリジナルなサウンド創りをしてみたいと思っている方の参考になれば幸いです。
ここで掲げるスピーカーシステムは完成されているエンクロージャーとフルレンジユニットを組み合わせた程度のもので、本当に超初心者向けです。




私が購入した部品の全て



隙間テープ以外は、全て秋葉原にあるコイズミ無線で購入したものです。
小型スピーカーシステムになりますが、これら全てのパーツを電車で持ち帰るには結構重たく感じます。通販がラクです。
参考として、エンクロージャー:ヒカリ工芸:No.5/75φは2個(1ペア)が1つのダンボールに梱包され、その大きさは約40cm×18cm×27cmです。
隙間テープはホームセンターなどにあります。



部品の概要

■エンクロージャー
バスレフタイプのエンクロージャーで、ヒカリ工芸:No.5/75φという型番(コイズミ無線オリジナル)のものです。

ヒカリ工芸は、コイズミ無線と長年の付き合いがあるビジネスパートナーで、No.5/75φの他に多くのコイズミ無線オリジナルエンクロージャーがあります。

今回選んだエンクロージャー:ヒカリ工芸:No.5/75φの大きさは、高さ260mm×幅165mm×奥行き175mmで、バッフル(前面)には8センチのスピーカーユニットが取付できるように直径75mmの穴が開いています。
仕上がりは木調の化粧板が施されています。バッフルは黒色の塗装。また、少量ながら吸音材が入っています。
背面にはスピーカーターミナルを取り付ける穴も開いています。




中で白く写るのは吸音材です。
サランネットも付属され、さすが完成されたエンクロージャーです。




裏面も黒色に塗装されています。




裏面のスピーカー端子の穴の様子。寸法は私が定規で測定した値。




■スピーカー端子
エンクロージャーの背面に開いているスピーカーターミナルの穴の形状から、取付けタイプのスピーカーターミナルということになります(埋め込みタイプは加工をしないと無理)。

コイズミ無線の店員は、オリジナルのスピーカーターミナル:CS-104(2)を奨めてくれ、わざわざ陳列されているCS-104(2)を袋から取り出して、ディスプレイしているエンクロージャーに当てて説明してくれました。
しかし、取り付けネジの位置が、エンクロージャーのスピーカーターミナルの穴とスレスレだったので、取り付けネジ位置がCS-104(2)より少しだけ離れているフォステクスのスピーカーターミナル:T150Bを選択しました。



取り付けネジが付属されています。




内部配線をハンダするラグ端子が、上図(左)のように外側に曲がっている場合は、上図(右)のように曲げておかないと、エンクロージャーの穴にちゃんと入らない。




■スピーカーユニット(8センチフルレンジユニット)
8センチフルレンジユニットは特徴あるユニットが沢山あって、どれを使うか迷います。
インターネットの評判を頼りに選択してもいいし、見た目だけで購入したユニットがどんな音楽を再生してくれるのか後で楽しむのもいいでしょう。
私はチタンコーンのTangBandのW3-1231SNに一目惚れし購入しました。



木ねじが付属されるが、バッフル板とフレームの間に挟むパッキンはない。




フレームの厚みが頼もしい。




数多くある8センチフルレンジの中でも軽量なユニットですが、マグネットは強力なネオジウム。




チタンコーンの鈍い反射と、ゴムエッジ、厚めのフレームが気に入ってしまった。
フレームよりゴムエッジが前面に出ているので完成するまで扱いに注意。




■スピーカーケーブル
せっかく作るので少し贅沢して、フォステクスのスピーカーケーブル:SFC80を使いました。
メートル単位で切売りされています。2台で1メートルもあれば充分です(余ります)。



フォステクスのスピーカーケーブル:SFC80は4N-OFC(銅の純度99.99%(4N)の無酸素銅)。
透明な平行ケーブルですが、片側に色のラインがあるので、スピーカーユニットとスピーカー端子間の極性合せは容易です。




■すきまテープ
購入するスピーカーユニットによって、バッフル板とスピーカーユニットのフレームの間に挟むパッキン(スポンジ状)が付属されない場合があります。
今回購入したフルレンジユニット:W3-1231SNには付属されていませんでした。
このパッキンが無くても問題になることは少ない思いますが、私としては用意したいものです。
ちょっとした隙間でも異常音(ビービー、ブーブー、ブッ・・ブッ・・)の発生原因となるからです。
これはスピーカーユニットだけではなく、背面に取り付けるスピーカー端子も同様です。

隙間テープは薄くて軟らかいウレタンフォームでいいでしょう。
この隙間テープはホームセンターなどで多くの種類が売られています。
私は写真のものを購入してハサミで細長く切って使いました。









私が行なった製作

1.ネジ穴の位置を決める

 

鉛筆などでネジ穴を開けるべき中心に印しを付ける。
下穴を施すので出来るだけ正確な位置に印しをする。


2.キリで浅く削る

 

印した箇所をキリで浅く削る。
これは次の手順で下穴としてドリル刃がずれないようにするための作業です。


3.木ねじのための下穴を作る

 


私は太さ2mmのドリル刃を使いました。深さは5mm〜7mm程度にしました。
電動ドリルは勢いで貫通してしまう恐れがあるので、ピンバイスでゆっくり作業したほうがいいです。

4.隙間テープを貼り付け



隙間テープは2mm〜3mm程度の細さにカット。


 

スピーカーユニット、スピーカーターミナルに貼り付ける。
エンクロージャーに取り付ければ押しつぶされて隙間は発生しないはず。

5.配線・取付け

 

スピーカーケーブルをスピーカーターミナルにハンダしてエンクロージャーに木ネジで固定。
ハンダコテのワット数は40W〜60Wが最適。30W程度のハンダコテでは熱が奪われて作業に時間が掛かる。
エンクロージャーに付属されている吸音材にはケーブルを通す穴があいている。




適度な長さにスピーカーケーブルをカットして、スピーカーユニットにハンダ。
スピーカーターミナルの「赤」を「+」、「黒」を「−」とする。




スピーカーユニットを固定。
コーン紙やエッジを傷付けないように細心の注意を払う。下穴の処理を施したので木ネジを締めるのは容易である。




感想...

私は、女性ボーカルの息遣いや、トライアングルなど録音レベルが低くて小さな高音楽器の存在が感じられるか注意して聴くことにしている。
TangBandのW3-1231SNは8センチユニットとは思えないほど魅力ある低域・中域で落ち着いた音だ。パワーを加えてもうるさく感じない。
キンキンとしたクセはなく、ボーカルはとても聴き易い。難点を挙げると、高音楽器が後退してしまうことだ。
フルレンジユニットのみだからマルチウェイシステムに比べて情報量に欠けるのは当たり前だが、長時間聴いても疲れないサウンドである。

豊かな低音(重低音ではない)と魅力ある中域を再生するから、小口径のトゥイーターを加えれば、より輪郭がハッキリし、空間が感じられるクォリティーの高いサウンドが狙えそうだ。
8センチフルレンジに対してプラストゥイーターはおかしいと思われるかも知れないが、やはり、音楽によってトゥイーターが欲しいと感じる場面がある。
この場合は音圧が高くないドームトゥイーターで3.3μF〜0.47μFとカットオフを高めにするとアッテネーター無しでバランスが取れるだろう。近いうちにトゥイーターを入手して試したい。

音楽によってブーミーに聴こえる場合もある。吸音材でバスレフポートを適時詰める必要があるかも知れない。

小型スピーカーは設置場所で低音再生は大きく変化する。部屋のコーナーに置くなどすると迫力ある音が楽しめる。





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