マーカーランプ付きLEDタイマーライト...page.1/3
はじめに...
寝ているときに探し物をしたり、布団を直したり、トイレに行こうとするときなど、少しだけ明かりがほしいでしょう?
この場合の明るさは、部屋の照明を点けると明るすぎて目が痛く、消すと目が慣れるまで暗闇の状態なので、ロウソク程度の明るさで充分だと思います。
また、自動的に消える回路が最適でしょう。
今回はそのような回路を発光ダイオードを使って作ってみます。
LEDをタイマー点灯させるだけでは実用性に欠けるので、暗闇の中で当回路を探し当てるためにゆっくり点滅するマーカーLEDを付加しました。
また、メインの白色LEDが消灯すると、好みの色のLEDをしばらく点灯させる装飾LEDを付加して楽しいものにしてみました。
点灯させるスイッチにはチルト(傾斜)スイッチを使いました。
完成品の使い方はとても簡単です。
明かりが欲しいとき、チカッ...チカッ...と光る製作物のスイッチを押下、又は揺らす(傾ける)だけです!
寝るときに常夜灯を消して真っ暗にされる方には便利です。
概要
C-MOSロジックIC:4000シリーズのシュミットトリガ入力NANDゲート:4093で構成するタイマー回路、発振回路を組み合わせたものです。
タイマーの動作時間は私がいろいろ確かめて決定しました。不便は感じないと思いますが変更はできます。
マーカーLED・・・当完成品を暗闇の中で探しやすいように設けた点滅(約0.5Hz)するLED(回路図:LED1) メインLED・・・プッシュスイッチをONするとタイマー点灯(40〜60秒)する白色LED(回路図:LED2、3、4) 装飾LED・・・メインLEDが消灯後、少しの時間だけ点灯(約20秒)するLED(回路図:LED5、6)
として本文を記述することとします。
回路図
図中のSW2:水銀スイッチは解りやすいようにイラスト調で描画しました。
回路は複雑に見えてしまうかも知れませんが、後述する製作のページを見て頂けれは簡単ですから心配しないで下さい。
※正理論と負理論は無視して描画。
IC | C-MOSロジックIC:4093 | R5 | 1MΩ | |
D1,D2 | 1N4148 | R6 | 10KΩ | |
TR1,TR2 | 2SA1015 | R9 | 3.3KΩ | |
LED1 | 好みの色(高輝度LED) | R10,11,12,13,14 | 560Ω | |
LED2,3,4 | 高輝度白色LED | C1,2,4 | 100μF | |
LED5,6 | 好みの色(高輝度LED) | C3 | 10μF | |
R1 | 240Ω | SW1 | プッシュスイッチ(モーメンタリー) | |
R2 | 680KΩ | SW2 | 水銀スイッチ(その他チルトスイッチ) | |
R3,7,8 | 4.7KΩ | BATT | 6V(単三電池4本) | |
R4 | 330KΩ |
回路の説明
回路図、デジタル回路について理解しなくても電子工作は楽しめますので当説明は見なくてもいいです。
回路図にIC-1/4〜IC-4/4とある4つのロジック回路はシュミットトリガ入力のNANDゲートです。
記号の中にヒステリシス曲線のような絵が描いてあるのはシュミットトリガ入力であることを示しています。
シュミットトリガ入力は、Lレベルと判断するシュレッシュレベル電圧と、Hレベルと判断するシュレッシュレベル電圧を持っているのが特徴で、アナログ信号のような曖昧な信号を扱えるようになっています。
当然ながらデジタル信号も扱えます。この動作について「水位報知器」で私なりに説明しましたのでみてみてね。
シュミットトリガ入力のNANDゲートにはC-MOSロジックICの4093を使います。
4093は1つのパッケージにシュミットトリガ入力のNANDゲートが4つ封入されています。
その様子は下図の通りです。このために回路図でIC-1/4〜IC-4/4というような表記をしています。
当然ながら4つのゲート回路の動作は同じですから、どのゲート回路を使おうが自由です。
IC-1/4とIC-4/4について入力端子をショートして、シュミットトリガ入力のNOTゲートとして用いています。
回路動作についてはロジックを追っていただければ理解できると思いますが、より理解できるように下図にタイミングチャートを記しておきます。
更に理解できるように右側に回路を記しておきます。解りやすいでしょ?
C-MOSロジックIC:4000シリーズの動作可能な電源電圧は3V〜18Vで、今回は単三型乾電池を4本使って6Vで稼動させました。
消費電流は大変に少ないため電池は長持ちします。
その他...
抵抗:R1は水銀スイッチやその他のチルトスイッチ(傾斜スイッチ)にも対応できるように240Ωにして瞬時値約25mA以下の充電電流にしました。
このため、R1とC1の時定数により、水銀スイッチなどの接点が「ちょっとだけON(接点ON時間がおおよそ0.1秒以下)」の場合は、C1の充電が不充分で規定時間以内に消灯してしまう恐れがあります。ただし、故意にちょっとだけONさせるような行動はしない筈ですから問題ありません。
このR1を省略するとスイッチの接点にアーク(火花)が生じチルトスイッチ(特に水銀スイッチ以外の物)の信頼性が低下するので必ず取り付けて下さい。
※回路図は水銀スイッチとありますが、その他のチルトスイッチ(傾斜スイッチ)も同様に使えます(フォトカプラ式は使えない)。詳しくは「部品の概要」の項で記述します。
抵抗:R3はコンデンサ:C2へ充電する際にロジックICの過負荷とならないようにする電流制限です。
抵抗:R2とコンデンサ:C1はメインLEDの動作時間を、抵抗:R4とコンデンサ:C2は装飾LEDの動作時間を決めています。
抵抗:R5,R6とコンデンサ:C3、及びダイオード:D2はマーカーLEDの点滅タイミングを決定しています。
ここでは、消灯している時間を長く、点灯する時間を短くして電池のロングライフを狙いました。
尚、メインLED点灯中はマーカーLEDの点滅を停止し、消灯させました。
コンデンサ:C4は電源バイパスコンデンサです。
電池の内部抵抗が上昇するとLEDの点灯・消灯により電源電圧が変動し、同時にシュミットトリガ入力のシュレッシュレベルも変動してしまうので接続することを奨めます。
ところで、回路図中、装飾LEDをタイマー点灯させる部分について....
上図の右側のように簡単にして構わないのでは?...と思われますが、IC-4/4がHレベルになるのはメインLEDが点灯している期間だけで、R4とC2の時定数が大きい場合はC2を満足に充電できなくなり、最悪の場合はHレベルと判断されるまでC2の電位が上がらないことがあります。
今回使う左側の回路はD1による電圧降下や、電流制限で設けたR3と放電用抵抗:R4による分圧でC2の充電電圧は電源電圧を若干下回りますが、右側の回路と比較すると短時間でC2を充電でき、思い通りにR2、C1、R4、C2を設定変更できます。
ただし、R4はR3との分圧を考慮すると100KΩ以上が望ましいでしょう。
LEDはマーカーLEDを除き、トランジスタで駆動しました。
これはC-MOSロジックIC:4000シリーズの多くはシンクカレント・ソースカレント共に数ミリアンペアしか取り出せないためです。
今回は約1mAのベース電流でトランジスタを駆動しました。
2SA1015は直流電流増幅率(hfe)が低いOランクでも70あるので、最低70mA以上(2SA1015の規格でコレクタ電流は最大150mAまで)のコレクタ電流が取れる見積もりになります。
LEDは1個当たり5mA〜7mAで点灯するようにブリーダ抵抗:560Ωとしましたので、3個に接続したメインLED(約20mA)も先の2SA1015の回路で充分点灯させることができます。
尚、マーカーLEDについては明るくする必要がないのでロジックICから直接駆動し、ブリーダ抵抗を3.3KΩとして約1mAで点灯させています。高輝度LEDなら1mAでも結構明るいです。
次のページから私なりに部品集め・製作方法を記述しますね。