ステッピングモーターを使った温度計...page.7/7
5.使い方
私の作った「温度スケール、温度指針」を基に解説します。
また、プログラム(EEPROM)初期値の・・・
・スケール初期設定の基準温度=20℃
・スケール最高温度=40℃
・スケール最低温度=-10℃
を前提にして解説します。
(1)温度スケールを作成する・・・ スケール最高温度とスケール最低温度から、-10℃〜40℃の楽しい温度スケールを作成します。(2)指針を作成する・・・
大きさは自由ですが大きく作ると楽しでしょう。
温度の分解能は1℃なので、1℃ステップで目盛りを作るのが基本となりますが、これは自由です。
目盛りの間隔は等間隔に作って下さい。
また、温度スケールは壁を利用して数字だけのステッカーを貼ってもいいでしょう。
温度スケールにマッチした楽しい指針を作ります。(3)紐をプーリーに巻き付ける・・・
作成した指針には、釣糸のテグスなど細い紐で吊れるようにしておきます。
軽すぎると紐がたるむので私は写真のようにコインを貼り付けました。
プーリーに紐を巻き付けておきます。(4)本機に電源を通電・・・
スリップして解けないように貴方の工夫で紐の先端を固定して下さい。
特に固定しなくても沢山巻き付けることで容易にスリップしません。
通電すると、ステッピングモーターは静止トルクが掛かり、安易にプーリーが回らないことを確認して下さい。(5)スケール初期設定「L設定」を行なう・・・
【重要】
(2)で作成した指針の重さを止めているだけの静止トルクがあれば充分なので、トルクを上げようと無理に電圧を上げる必要はありません。
通電すると、「低温/L設定ランプ」のみ点灯します。(6)スケール初期設定「H設定」を行なう・・・
これは、スケール初期設定のL設定を促しています。
スケール初期設定のL設定では、「モーター正回転スイッチ」と、「モーター逆回転スイッチ」を操作して、基準温度より10℃低い箇所の10℃(初期値の基準温度は20℃のため)を示すように指針を調整します。
指定の温度スケールに指針の位置を調整したら「H/L設定スイッチ」を押下します。
間違えたら「オールリセットスイッチ」を押下して最初からやり直して下さい。
【重要1】
モーターが脱調(回転中に異音がしたり、モーターが振動するだけで回転になっていない)している場合はモータースピードが速すぎる場合があるので、EEPROM内容を修正して下さい。
また、電源電圧が低すぎてもトルク不足により回転しません。
【重要2】
モーター正回転スイッチを押下したとき、指針は温度スケールを上昇することを確認して下さい。
もしモーター正回転スイッチで温度が下降しているならば(3)でプーリーに巻き付けた紐を逆に巻いて下さい。
ギヤボックスやタイミングベルトなどメカの変更が不可能な場合はモーターへの配線(A−B−A'−B')4本を入れ替えて下さい。
スケール初期設定「L設定」が済むと、「高温/H設定ランプ」のみ点灯します。(7)温度を測定しています・・・
これは、スケール初期設定のH設定を促しています。
スケール初期設定のH設定では、「モーター正回転スイッチ」と、「モーター逆回転スイッチ」を操作して、基準温度(初期値20℃)に指針を調整します。
指定の温度スケールに指針の位置を調整したら「H/L設定スイッチ」を押下します。
間違えたら「オールリセットスイッチ」を押下して最初(スケール初期設定のL設定)からやり直して下さい。
L設定の位置からH設定の位置まで移動させるためにモーターに加えたパルス数が100未満、又は32767パルスを超えると「高温/H設定ランプ」と「低温/L設定ランプ」がフラッシングして「エラー」であることを知らせます。100未満でエラーにする理由は既に記述した通りです。
また、L設定の位置より低い温度方向にH設定したり、低い温度方向に多く移動したりするとエラーになるようにしています。
スケール初期設定「H設定」が済むと、「稼動中ランプ」のみ点灯して、現在温度を指します。(8)稼動中に「高温/H設定ランプ」又は「低温/L設定ランプ」が点灯する場合があります・・・
モーターは1℃ステップでステッピングモーターらしいカッコイイ動きになるでしょう?
【重要】
稼動中のモータースピードは、スケール初期設定にスイッチにより動かすスピードより早くしています。
逆に言い換えると、スケール初期設定のモータースピードは調整を行いやすくするためにモータースピードを落としています。
よって、実稼動でモーターが脱調するようならば、EEPROM内容の修正でモータースピードを下げてください。
-10℃〜40℃(初期値)の温度スケールですから、この範囲でしか指針は動かないようにしています。(9)稼動中に、モーター正回転スイッチ、モーター逆回転スイッチを押下し続けたら・・・
そこで、40℃を超えた場合は40℃を指しつつ、「高温/H設定ランプ」が点灯します。
-10℃未満となる場合は-10℃を指しつつ、「低温/L設定ランプ」が点灯します。
温度が-10℃〜40℃になると「高温/H設定ランプ」や「低温/L設定ランプ」は消灯します。
作った貴方が確かめて下さい。(10)電源を切ったらスケール初期設定を行なう・・・
電源を入り切りした場合は、スケール初期設定からやり直しです。
現在温度をEEPROMに書き込んで記憶させることは行なっていません。
これは通電が切れるとステッピングモーターの静止トルクが解除されるためです。
使用上の注意...
指針を上部から紐で吊る方法では、指針を引っ張られる恐れがあります。
このとき、本機が上から落ちないように注意して下さい。又は本機を下に設置し、上部に滑車を設置するなど工夫して下さい。
人によっては、モーター自体の温度上昇を強く感じることがあります。
モーターが熱を持つことは仕方のないことです。その熱はプーリーにも伝わることがあります!
不安を強く感じる場合は電源電圧を低めにしてみて下さい。
ステッピングモーターの制御は正確に動いていますが、指針を吊るす「紐」は温度によって殆どの場合は伸び縮みしますので、温度は目安として下さい。
また、紐を巻いたプーリーも紐が巻かれるほど径が太くなるので目盛り通りに指針は移動しないことがあります。
こまめにスケール初期設定を行ないましょう。
当然ですが、スケール初期設定を誤りますと、温度スケールの範囲を超えて指針が動き、せっかく作った指針にダメージを与えることがあります。
スケール初期設定は正確に行ない、更に、温度スケールの上下は余裕を持たせておきましょう。