ステレオアンプ...page.9/9


8.外装の仕上げ

パネルに取り付けてあるスイッチやボリューム、端子類が何を意味するか表示されていませんと製品として成り立ちません。
第三者にも使えるように文字入れする必要があります。私はテプラで文字を作り、貼り付けました。
インスタントレタリングを使えば更に出来映えが良くなりましょう。
下図は参考として下さい。






ボリュームツマミ3個と、ケース底にゴム足4個を取り付け、ヒューズボックスに2Aヒューズを入れて完成です。










9.動作確認

大事なスピーカーを破損させないためにも製作したアンプ自体の正常な動作を確認してからHi-Fiスピーカーを接続して下さい。

1. ヒューズ:2Aをヒューズボックスにセットしたか確認して下さい。スピーカーは接続しないでおきます。

2. 電源スイッチがOFFであることを確認して、別途用意したACアダプターを本機DCジャックに差し込みます。ACアダプターはコンセントに差し込んでおきます。

3. ドキドキしながら電源スイッチをONにします。
直ぐにパイロットランプ(発光ダイオード)が点灯するか確認して下さい。
パイロットランプが点灯していれば次のステップに進んで下さい。
点灯しない場合は即座に電源をOFFにしてACアダプターをコンセントから抜きます。

ヒューズ:2Aが切れていましたか?

ヒューズが切れていない場合は、パイロットランプ(発光ダイオード)の極性が正しいか、誤配線がないか確認して下さい。

ヒューズが切れている場合は少し厄介です。基板の製作から配線まで、最初から1つ1つ確認して、間違いを直して下さい。
配線に間違いがなければヒューズが切れることはありません。

4. しばらくして煙が出てこないか確認します。そして、パワーアンプ基板の酸化金属皮膜抵抗:2.2Ωに触れて熱くなっていないか確認して下さい。
2.2Ωが熱くなっていなければ次のステップに進んで下さい。
2.2Ωが熱い場合は、パワーIC:TA8201AKが発振していますから、速やかに電源をOFFして配線を確認します。
片チャンネルだけ2.2Ωが熱い場合は熱くないもう一方の配線を参考にして何処が間違っているか確認して直します。

※当回路の帰還量を決める560Ωでいろいろな条件で実験しましたが、2.2Ωが熱くなることはありませんでした。

5. テスターをお持ちの方はDCボルトレンジでスピーカー端子を測定し、ほぼ0Vであることを確認して下さい。
テスターを持っていない方は壊れてもどうなってもよい小型スピーカーを用意し、スピーカー端子にカリカリと接続したり、しなかったりしてみて下さい。何も聞こえなかったり、スピーカーに耳をくっつけてガリガリっと微かに聞こえる程度は正常です。
そして、ちゃんと接スピーカー端子に接続してみると「サーッ」とノイズが聞こえるはずです。
ここまで異常がなければ次のステップに進んで下さい。

直流が出ていたり、スピーカーからとんでもない大きなガリガリッと音が出る場合は、スピーカーラインが地落または、天落していたり、パワーアンプ基板の配線に誤りがあります。特に、パワーIC:TA8201AKのハンダ部分がハンダによりショートしていないか確認してみて下さい。

6. スピーカー端子に極性に間違えないでHi-Fiスピーカーを接続し、入力に音楽ソース(FMラジオ、CDプレーヤなど)を接続して、綺麗な音で再生されることを確認します。
同時に、セレクタースイッチ、音量ボリューム、トーンコントロール(BASS,TEBLE)類の動作確認をします。

電源ON時にスピーカーから「ポコッ」と音がしたり、振動板が少し揺れますが、これはポップノイズといって異常ではありません。





完成後...


セパレートコンポのチューナーやCDプレーヤ又はヘッドホンステレオなどを接続してみましょう。
自分で作ったアンプの音はどう感じられたでしょうか?
トーンコントロールも程良いコントロール範囲のはずです。
BASS調整では、大きめなスピーカーであれば充分なコントロール範囲であることが判ります。
当初心配していたクロストーク(左右の信号の混じり合い)も全く気になりません。
スピーカーシステムも自作された方であれば喜びも倍増しましょう。

当アンプはBTL接続アンプのためヘッドホンを鳴らすことは絶対にしないで下さい。
ヘッドホンに直流がかかりヘッドホンを破損する恐れがあります。





トラブルシューティング

トーンコントロールの高音調整(TREBLE)にて高音を増加するとラジオ放送が聞こえる。
電界強度が強いご家庭では稀にラジオ放送が聞こえる場合があります。これは入力端子に混入した高周波である電波がトランジスターなどにより検波されるためです。
対処方法は高周波成分を減衰させることです。下図の箇所に10pF〜47pF程度のセラミックコンデンサを接続して下さい。
このコンデンサを挿入したことによる音質劣化はありません。
また、入力に接続するコードにシールド線を使っていない場合は、シールド線にすることも対処方法のひとつです。
売られているRCA接続コードはシールド線です。

トーンコントロールの低音調整(BASS)にて低音を増加するとブルブルとスピーカーの振動板が揺れる。
トーンコントロール用の増幅回路が発振しています。特に、この部分の増幅率が高い時に起こります。
紹介したトーンコントロール回路の定数で作った場合ではこのような問題はありません。それは、エミッタに接続している220Ωで増幅率をある程度抑えているからです。
しかし、トーンコントロール素子を自分で算出して作られた場合はこの限りではありません。発振される場合は220Ωを増加する必要があります。
音量ボリュームを少し廻すだけで大きな音になってしまう。
もう少し音量を下げた方の調整範囲を広げたい場合がありましょう。この場合は47KΩの抵抗を音量ボリュームに直列に挿入してみて下さい。
実際に私も挿入しています。
挿入したからといって大きな音が出なくということはありません。むしろ、使い勝手が良くなる場合があります。
ただし、このことは接続する音楽ソース(FMチューナーやCDフレーヤ)の出力電圧によりますから、セレクタースイッチ側に47KΩを接続して、セレクタースイッチによって低レベル信号、高レベル信号と切り換えた方がよいかもしれません。
この抵抗を挿入したことによる高域低下は感じられませんので安心して下さい。



また、音量ボリュームの配線で入力端子側とプリアンプ基板側が逆になっている可能性もありますから一度配線を確認してみて下さい。
フロントパネルに触れると「ブーン」とハムノイズが聞こえる。
フロントパネルが0Vライン(グランドレベル)から浮いているために起こります。タマゴラグを用いてリアパネルやシャーシに接続することで解決します。私はパイロットランプに配線される0Vラインを、部品の切り落しのリード線を用いてパイロットランプのナットにハンダ付けして対応しました。



音量ボリュームを下げると、スピーカーから「カチッ」と音がしたり、異常音がする。
初段のエミッタフォロワ回路の発振です。
紹介した回路では音量ボリュームの後に1KΩを介すことで殆ど発振することはないと思います。
この現象は0Vライン(グランドレベル)の這い回しの違いで起こることがありますので、もし、発振するようでしたら下図の箇所に、
100pF〜220pF程度のセラミックコンデンサを挿入してみて下さい。
このコンデンサを挿入したことによる音質劣化はありません。






完成の様子




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