実験用電源のグレードアップ...page.1/2
はじめに...
既に紹介した「実験用電源」はLM350Tだけを用いたマニュアル的な回路でしたが、TO-220パッケージの最大約30Wという制限があるため低電圧出力時では1アンペアも取れなく、実験用電源として使いづらいという意見が3件ほど頂きました。私自身も少し使いづらかったかなと後悔しています。
ここでは、実験用電源を製作なされた方、又はこれから製作なされる方のために、出力電流を多く取れるようグレードアップを図ることとします。
グレードアップを図ることで全ての出力電圧で3アンペア流せることができます。
回路図
既に紹介した「実験用電源」の回路は下図の通りですが、大げさな変更を行わずに青の破線で囲った部分だけ追加加工致します。
LM350Tのような3端子レギュレーターIC(電源用IC)の出力電流を上げるには下図に示すよう、トランジスタを追加した電流ブースター回路が多く使われます。今回のグレードアップ方法も同じ回路で実践することにしました。
ただし、パワートランジスタの短絡保護回路はありませんので、‘IN’側にヒューズを挿入しておきます。
追加パーツは4点のみで簡単ですから、不満がある方は是非、トライして下さい。
グレードアップに必要なパーツ
品名 | 型番 | 個数 | 備考 | 予算 |
パワートランジスタ | 2SA1941 | 1 | ランク問わず:東芝製 (絶縁シリコンシートも付けてもらうこと) |
\250 |
抵抗 | 33Ω 1/2W | 1 | 橙橙黒金 | \15 |
ヒューズホルダー | 1 | \150 | ||
ガラス管ヒューズ | 1 | ヒューズホルダーに合うサイズの物 | \20 | |
ビス・ナット・平ワッシャ | 3φ15ミリ | 1組 | - | |
線材 | 少々 | - |
部品の外観
パワートランジスタ:2SA1941
電流ブースターには最大コレクタ電流10A,最大コレクタ損失100WのPNP型トランジスタで2SA1941を使いました。
取付けの際はLM350Tと同様にフィンとシャーシを絶縁する必要があるので必ずシリコンシートも一緒に購入して下さい。
端子名と取付け方は下図の通りです。2SA1941はLM350Tと比較して大型ですから、締めつけ面積を大きくするためナット側に平ワッシャを付けましょう。尚、ナット側はプラスティックモールドになっているのでLM350Tのときにあった絶縁ブッシングは必要ありません。
抵抗:33Ω 1/2W
この抵抗によりトランジスタを制御します。トランジスタのベース・エミッタ間の電圧は通常1ボルト以下になるため1/4W品でも充分です。
カラー抵抗表示は、「橙、橙、黒、金」です。
ヒューズ
当回路は出力をショートされた場合のパワートランジスタ保護は効きません。電子回路によりトランジスタ保護回路を構成することもできますが大幅な回路変更が必要になります。
ここでは簡単なヒューズによる保護と致しました。ヒューズは3アンペアとしています。私自身が使った限りではヒューズによる保護で充分だと思います。
出力をショートしてしまうことを考慮して、2,3本多めに購入するといいでしょう。
尚、ヒューズ(3A)とヒューズホルダーは大きさが合っているか確認して購入して下さい。